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外科 虫垂炎について

 虫垂炎は正式には急性虫垂炎といい、虫垂が炎症を起こす病気で、一般には盲腸とかアッペとして知られています。原因はストレスや、ウィルスや細菌感染、疲労などいろいろいわれていますが、これといったものはありません。虫垂炎は古くからよくある病気ですが、診断は簡単ではありません。典型的な症状は、まず風邪のような微熱やだるさといった症状から始まり、みぞおちの辺りが痛くなり、吐き気を催し、次第に右下腹部が痛くなる・・・といったものですが、実際には虫垂炎でこのような典型的な症状が見られることはそれほど多くありません。むしろ症状が一様でないために、なかなか診断ができないことがしばしばあります。

 急におなかが痛くなる状態を急性腹症といいますが、虫垂炎と同じような場所が痛くなる病気でよく間違われるものに、大腸憩室炎、急性腸炎、附属器炎、腸間膜リンパ節炎などがあります。いずれも炎症を起こしているので、腹痛とともに熱が出たり、白血球が増加したりします。鑑別には超音波検査やCT検査が必要になりますが、特にCT検査により他の疾患も含めてかなりの精度で鑑別し、虫垂炎と診断できるようになりました。当院でも虫垂炎として紹介される半分以上は別の病気です。 ここでは、当院で1998年1月から2015年12月までに急性虫垂炎と診断した結果を紹介します。

男女別症例数 (1998-2015年)

 男性と女性でほとんど差はありません。

男女別症例数
  件 数 割 合
男性 338 56.5%
女性 260 43.5%
合計 598 100.0%
男女別症例数

 

年代別症例数 (1998-2015年)

 10歳から39歳で過半数を占めていますが、年齢分布をみると、高齢でも起こる病気だということがわかります。
 最年少は4歳、最高齢は93歳で、最も多い年齢のピークは32歳でした。

 

年代別症例数

 

治 療 件 数 (1998-2015年)

 虫垂炎の炎症の進み具合により軽いものからカタル性(軽度)、蜂窩織炎性(中等度)、壊疸性(高度)の三段階に分類されます。炎症の軽いものは抗生物質の投与により炎症を抑えられる可能性がありますが、治療(入院)が長引いたり、繰り返すことがあります。当院では虫垂炎の程度が蜂窩織炎以上と診断した場合は、手術のより虫垂を切除する治療を勧めています。手術を拒否されて抗生物質のよる治療を行ったものも含めて保存的に治療したのは102例で全体の約1.7 割、8.3割にあたる496例で手術を行いました。

治療件数
  件数 割 合
手術件数 496 82.9%
保存的治療件数 102 17.1%
総治療件数 598 100.0%
治療割合

 

切除虫垂の炎症の程度

 実際に手術し、切除した虫垂が本当の虫垂炎であったかどうか?虫垂炎であった場合にその炎症の程度はどのくらいのものであったかを顕微鏡で調べた結果を示します。496例のうち、虫垂炎だったのものは477例で96%の正診率でした。ではそれ以外の19例は何だったかというと、萎縮した虫垂(おそらく虫垂炎を繰り返していたと考えられます)6例、腫瘍5例、他の炎症が虫垂に波及したものが2例、子宮内膜症2例、虫垂は正常であったもの4例(炎症の原因が虫垂ではなく別にあったもの)といった結果でした。虫垂炎のなかでカタル性のものが25例(5%)あり、これらは手術せずに抗生物質の投与で治った可能性があります。その他95%は手術の適応とした中等度以上の炎症が認められていて、100%とはいきませんが、かなり正確な診断ができていると思います。今後CTの精度があがればさらに診断能力は増すと考えます。

炎症の程度
切除虫垂の炎症の程度
カタル性 軽度 25
蜂窩織炎性 中等度 248
壊疽性 高度 204
その他   19
  合 計 496
炎症の程度
その他内訳
(18件)
萎縮もしくは虫垂炎の痕跡 6
腫瘍  粘液嚢胞腺腫 3
虫垂癌 1
カルチノイド 1
炎症の虫垂への波及 2
子宮内膜症 2
正常 4

発症から入院までの日数

 虫垂炎は比較的炎症が早く進む病気なので平均すると2日ほどで当院に受診されていますが、中には抗生物質を長期にわたって投与されているうちに虫垂の周りの膿がたまった状態となっていた方もいて、虫垂だけでなく大腸の一部を切除しなければなりませんでした。壊疸性虫垂炎の多くは、すでに虫垂が腐って大腸内容(便汁)が漏れている状態ですのでその前の段階で診断がつき、治療に入れればと思います。

発症から入院までの日数
  日 数
最 小 0.00
最 大 41.00
平 均 1.97
中 央 1.00